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忘れ得ぬ人 矢野眞一(軽井沢町在住)

 私が写真を始めたのは、昭和二十八、九年の頃だったと思う。その頃、写真屋さんはモリサワフォトショップしかなく、現像焼付けはすべて森澤さんに仕上げていただいた。当時、露出はすべてカンに頼って撮っていて、一本のネガで満足に撮れているのは数少なかった。(撮り方も悪かった。)

そんな写真を森澤さんは厭な顔もしないで露出方法など、わかりやすく説明していただいた。言葉遣いも丁寧でにこやかに話されたことなど忘れられない。

車社会ではない軽井沢時代に厖大な写真を撮影されたとのことだが、一体どのように撮影されたかと思うと不思議のような気がする。

昭和三十年頃か?8ミリ映画を撮影されていたが、お陰で私も8ミリの魅力にとりつかれた。

昭和三十五年、突然のように静岡へ引っ越されたが、余りにも早く越された為、何か気が抜けてしまったような記憶がある。

「軽井沢時代」写真集の中で、昭和四十八年他界されたことを知り残念に思った。ご健在であればいま一度お話してみたいと思う人柄で、おだやかな紳士であった。   (2008年5月)


矢野眞一